マーカッシュ・クレームは、一つの構成要素について複数の選択肢を列挙するクレーム形式です。化学、医薬、バイオテクノロジーおよび材料分野で、共通の構造または機能を有する代替要素を一つの請求項に含めるために用いられます。選択肢の範囲が明細書の開示を超える場合は、明確性、サポート要件、実施可能要件、発明の単一性および進歩性が問題となります。

典型的な記載は「RはA、B、CおよびDからなる群より選択される」です。「からなる群」という閉鎖的な表現を用いると、原則として列挙された選択肢以外は群に含まれません。クレーム全体の移行句とマーカッシュ群の閉鎖性は別に検討します。
列挙される選択肢が多いほど、クレームが包含する組合せは増加します。代表例だけで全範囲を一般化できるか、当業者が過度の試行錯誤なく実施できるか、共通する効果が明細書に示されているかを確認します。選択肢の階層、置換位置、数値範囲および除外事項を明確にし、実施例と比較例をクレームの幅に対応させます。
PCT規則13.2、USPTO MPEP 2117およびEPO審査便覧は、マーカッシュ形式の選択肢について、共通する構造的特徴や性質・作用を含む技術的関係を検討します。共通概念が認められない場合、追加調査手数料、限定要求、分割または拒絶の対象となる可能性があります。各国の基準と手続は同一ではないため、国際出願時に代替群と従属項を再構成します。
調査では一般式、部分構造、具体的化合物、置換基、立体異性体、塩、溶媒和物および用途を分けて検索します。広い一般式が先行技術に含まれる場合でも、選択発明の新規性・進歩性は、選択範囲、具体的開示、効果および選択の動機に基づいて個別に検討します。
「からなる群より選択される」という文言は、列挙されていない代替要素を除外する方向に解釈され得ます。出願時には広い群、優先群、個別種および用途を階層化し、従属項と明細書に補正根拠を確保します。審査・無効手続で許容される選択肢の削除や組合せの限定は法域により異なります。
マーカッシュ形式は、選択肢を一つの請求項に列挙するだけの書式ではありません。列挙範囲と開示、実験データ、単一性、調査可能性および将来の補正根拠を同時に設計する必要があります。