韓国特許法上の特許侵害損害額算定

Pine IP Firm
2025年3月28日

韓国特許法第128条は、特許権者の逸失利益、侵害者利益の推定、合理的ロイヤルティおよび裁判所による相当額の認定を規定しています。故意侵害には増額賠償が適用される場合があります。請求方法は選択的・予備的に構成し、販売数量、利益率、生産能力、技術寄与率および故意に関する証拠を対応付けます。

韓国特許法第128条に基づく特許侵害損害額の算定方法

特許権者の逸失利益(第128条第2項・第3項)

基本式は、侵害品の譲渡数量に、特許権者が侵害行為がなければ販売できた製品の単位数量当たり利益を乗じる方法です。

逸失利益=対象数量×特許権者の単位数量当たり利益×(1-市場要因控除率)

対象数量は、原則として侵害者の譲渡数量ですが、特許権者の実施能力を超える部分は制限されます。実施能力の判断では、生産設備、人員、稼働率、外部委託、過去の生産実績および増産可能性が争点となります。

単位利益には、通常、追加販売に伴って増加する変動費を控除した限界利益または貢献利益が用いられます。材料費、直接労務費、販売手数料等と、減価償却費、一般管理費等の固定費を区分し、共通費は合理的な基準で配賦します。

競合品、非侵害代替品、需要不足、価格差、ブランド、販売網その他の事情により特許権者が販売できなかった数量は控除対象となります。侵害者は代替品の供給可能性と市場への影響を、特許権者は需要、実施能力、販売能力および利益を立証します。

侵害者利益の推定(第128条第4項)

侵害者が侵害行為により得た利益は、特許権者の損害と推定されます。売上高から侵害品の製造・販売に直接関係する費用を控除し、侵害品と非侵害品の売上・費用を区分します。複数製品に共通する費用は、売上高、生産量または利用時間等の基準で配賦します。

侵害者は、利益の一部が特許技術以外の技術、デザイン、ブランド、販売活動等に起因することを示し、寄与率に基づく推定の覆滅を主張できます。寄与率の判断には、製品における特許技術の機能、代替可能性、顧客の購入動機、他の知的財産および販売資料が用いられます。

販売・費用資料の確保には特許法第132条の資料提出命令を検討します。提出命令への不応諾には、相手方主張の真実擬制等の効果が生じる場合があるため、請求対象と資料の特定を訴訟初期から準備します。

合理的ロイヤルティ(第128条第5項・第6項)

逸失利益または侵害者利益の立証が困難な場合、特許発明の実施について合理的に受けるべき金額を請求できます。

合理的ロイヤルティ=侵害品の売上高または販売数量×合理的な料率または単位額

料率の判断資料には、当該特許または類似技術のライセンス契約、業界慣行、技術の重要性と製品への寄与、非侵害代替技術、特許の残存期間、権利範囲、独占性、交渉時点の事業状況および予想利益が含まれます。合理的ロイヤルティ額を超える実損害が立証された場合は、その超過額も請求対象となり得ます。

算定方法の組合せと裁判所の相当額認定

特許権者の実施能力の範囲には逸失利益を、これを超える侵害数量には合理的ロイヤルティを適用するなど、重複を避けて複数方法を組み合わせることができます。損害の性質上、正確な立証が著しく困難な場合、裁判所は弁論全体と証拠調べの結果に基づいて相当な損害額を認定できます。

侵害者の低価格販売により特許権者が価格を引き下げたとする価格低下損害は、因果関係、価格決定過程および侵害者の予見可能性が争点となります。価格履歴、顧客交渉、需要弾力性、競合状況等を経済分析と対応付けます。

故意侵害の増額賠償(第128条第8項・第9項)

2019年に導入された増額賠償制度は、故意侵害について基本損害額を増額するものです。2024年2月改正・同年8月施行の規定では上限が5倍に引き上げられました。具体的な上限と経過規定は、各侵害行為の時点を基準に確認します。

故意の判断資料には、特許の認識、警告状、FTO調査、非侵害・無効に関する専門家意見、設計変更、内部メール・会議記録、侵害開始・継続時期および審判・訴訟後の対応が含まれます。特許を知っていた事実だけでなく、侵害可能性を認識しながら行為を継続した事情が検討されます。

倍率の判断では、次の事情が考慮されます。

  1. 侵害者の優越的地位
  2. 故意または損害発生認識の程度
  3. 被害の規模
  4. 侵害者が得た経済的利益
  5. 侵害期間と回数
  6. 関連する刑事罰
  7. 侵害者の財産状態
  8. 損害回復のための努力

訴訟準備資料

  • 特許権者:侵害数量、単位利益、実施能力、需要、代替品、技術寄与率、警告と侵害継続の証拠を整理します。
  • 侵害被疑者:販売・費用資料を製品別に保全し、非侵害・無効論、非侵害代替品、寄与率、設計変更および是正措置を記録します。
  • 双方:損害算定の基準日、対象期間、消滅時効、法改正の施行日および経過規定を確認します。

損害額は、同じ売上資料でも採用する条項、控除費用、実施能力、寄与率および故意の認定により大きく異なります。具体的な請求額は、最新の法令・判例と対象製品の会計・技術資料を基に算定する必要があります。

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